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  • Ryo Hara

プログラミングカフェの3年目のステップ


地元の品川区で、小さな集まりを2年くらい続けています。

プログラミングカフェという取り組みで、戸越銀座商店街にあるカフェで、月イチペースでビジュアルプログラミングのScratchを楽しもうという集いです。

私がIT業界に首を突っ込んだのが12年くらい前で、そこからIT団体を立ち上げたり、ハッカソンのようなエンジニアが集まるイベントなども頻繁に行っていますが、自分自身はプログラミングができません。簡単なディレクションだったり、営業だったり、セミナーやイベントの企画運営だったり、周辺のあれこれをやって、いろんな人たちの活動の場を創ったり、拡げたりという役回りでした。

自分でもやってみたいと思ったところで、Scratchを知り、ノンエンジニアでもプログラミングを表現手段として獲得して、だれもが自由な表現ができる場を街角に作ろうということで始めたのが、プログラミングカフェです。

プログラミングカフェには、いくつかの特徴というか、狙いがあります。

ひとつは、プログラミングを表現手段と捉えているところです。

文章を書いたり、おしゃべりをしたり、絵を描いたり、歌ったり、体を動かしたり、工作をしたり、人はあらゆる表現手段を駆使して、世の中に価値を表すことができます。

私は言葉でモノを考える傾向が強いので、このブログのように文字での表現を多く用います。子どもの頃から高校生くらいまでは、マンガを描いたりもしていたので、これも自分の世界観や価値観を表現する主要な手段でした。

プログラミングも、そうした自分自身が生み出す世界なり価値なりを表現する手段です。

プログラミングを身につけるだけではなく、身につけたプログラミングで、何を表現するのか。身につけたスキルが高度でかつ、それを楽しく扱うことができるなら、いままでにない表現手段を手に入れることができます。

が、そう思っても、どうも挫折しちゃうのがプログラミングで、私の場合、入口にスムーズに立たせてくれたのがScratchだったということです。子ども向けに設計されているので、導入が直感的かつ平易ということもあるんでしょう。

ちょっと触って、すぐ表現に向かえる楽しさで、プログラミングカフェでも、いまのところScratch推しです。

もうひとつは、参加対象者が大人も子供も、双方OKという点です。

子ども向けプログラミング教室は、都内でもだいぶにぎやかになってきたようです。なので、それはほかの人や組織が一生懸命やっているのに任せておけばよいでしょう。

プログラミングの習得は、同質な人の集まりで、教室なり施設なり、それを学ぶための空間の中に閉じて進めるほうが効率的なのかもしれません。プログラミングに限らず、学校がそもそもそういう造りになっています。必要な知識、スキルを効率化させた結果なのでしょう。

しかし、そのような空間は、学校でしか存在せず、社会の中ではむしろ異質です。仕事をしても、街に出ても、違う世代、違う考え方、いまでは違う国の人と混ざることもあるでしょう。社会は多様な人々で構成されていて、私たちはその中で暮らしています。

Scratchという共有の表現手段で、多様な人々が集まり、表現やコミュニケーションを楽しむ。そんな空間を作りたいというのが、プログラミングカフェの狙いでもあります。

もうひとつは、営業中のカフェに集まるという点です。

プログラミングカフェは、街角の一風景です。

街で起こっているいろんな営みのひとつです。ほかのお客さんが「何やってるの?」と覗きこんでよい。そんな場にしたい。何かを表現している人たちが、だれからも見える場所で活動している。多様性とは、そうした環境で実現するものだという考えです。

ゆるく、2年ほど続けてきました。

設計が甘く、目論み通りにいかないことも多々ありました。

まず、子どもがあまり集まりません。

「プログラミング教室」であれば、塾や学校と同じで、同世代・同質の集まりで、入りやすい。でも、プログラミングカフェはそうではないので、わかりにくさがあると思います。

たまに来てくれます。でも、ほとんどが親子で来ます。親子という塊で来ます。子どもに参加させるために同伴するだけで、参加せずに見てるだけの親御さんもいます。

自分が親ではないから、この感覚がわかりません。近所で知り合いがやっている場に、子どもの様子を見るためだけに親がついてくる。自分が子どもの頃にはなかった感覚です。

批判をしているのではなく、感覚の違いです。でも、一緒に参加してほしいなぁ。

そして、地元の集まりにもなりにくい。

参加してくれる大人の方々は、電車で数十分乗り継いで来てくる人が多く、千葉から通う人もいます。ご近所のカフェでやっているつもりが、関東近郊から戸越に集まれ!な状況です。

地域の人たちや子どもたちとのつながり方や、関心づくりに、工夫が必要なんだと思います。そこら辺を意識しつつ、ゆるゆると続けていきます。

しかし、これまでのIT団体の活動経験に照らすと、こうしたものは、3年くらいコツコツ休まず活動を続けていくと、何かしら発展の兆しが見えてくるものです。自分たちの経験値があがって、新しいアクションを起こせるようになるのと、細々でも途切れず活動していることで、外からの注目、評価が集まりはじめるのです。

プログラミングカフェも、2年間の活動で、新しい領域が見えてきました。

一緒に活動をしているパートナーは、作業療法士です。障害や高齢で体が不自由な人に対し、リハビリを行う専門家です。上記で説明したプログラミングカフェのコンセプトは、彼女の思うところとして作られてきました。

障害者でも高齢者でも、大人や子どもの区別なく、いろんな人と地域で交わり、自由に表現できる場を創る。そんな場の実現が、プログラミングカフェです。

毎回来てくれる常連の方のひとりは、ご近所で暮らす地元の障害者の方で、彼女の作業療法によるサポート対象になっている人です。プログラミングカフェへの参加は作業療法の一環と見ることもできますが、彼女は業務でやっているわけでもないし、その方も任意で、楽しむために参加をしています。

その様子を2年ほど見て思ったのは、いっそ作業療法としてのプログラミングに、活動をフォーカスをしてもいいんじゃないの?と。

毎回来てくれるその方にも、参加による効果を測らせていただきつつ、彼女が仕事や同業者のコミュニティでつながっているリハビリ専門職の人たちにも、Scratchに触ってもらい、リハビリのアクティビティとしての可能性を検討してみたらいいと思うのです。

リハビリの専門職には、PT(理学療法士)/OT(作業療法士)/ST(言語聴覚士)という職種があるそうです。そうした人たちとあれこれ検討したり、実践できる場であれば、彼女らにとって、仕事とプライベートでの活動がリンクします。

そうなると、モチベーションも成果も加速度的に高まります。注目や期待もさらに集まり、活動することで輪も広がり、運営側としての楽しさが増してくるはずです。

今月からは、リハビリ専門職の方向けのプログラミングカフェと、通常のプログラミングカフェを交互に行い、3年目の進化にトライします。

あわせて、その挑戦や成果は、作業療法とITのそれぞれの専門家の集まりで報告も重ねていきたいと思います。異分野連携での共創による価値創出への挑戦が、またひとつ増えそうです。

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仙台にいるとき限定で「ひとり勉強会」なるものをはじめてみました。 〇〇勉強会みたいなのは、これまでセミナーやらワークショップやら、全国でもう数百本とあれこれ開催しまくってきて、ノウハウらしきものもいくつかは身についてきたように思う。 テーマの決め方、タイトルの作り方、場所や日程の確保、告知の展開の仕方、チラシや告知ページの制作、集客、関係者との各種調整、主催者や共催者にあわせた建付の仕方、当日運営

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