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Ryo Hara

「IT導入」は「若者導入」の向こうにある ~農家×ITの道筋


もがみハッカソンの様子

「農家×IT」というのは「農家×若者(with IT)」に置き換えたらいいんじゃないかという話をしたいと思います。

(「農業×IT」だと、大手企業がはじめる大規模農園とか、植物工場みたいなのもイメージに入ってきそうですが、ここではもうちょっと小規模かつアナログな営みの場への導入を想定しているので、農業→農家に言葉を変えてみました)

「○○×IT」というテンプレート。○○の部分にはいろんな言葉が入ります。ITはどんな分野でも、課題解決を加速させる武器になります。

ところが、相手方の領域でITにアレルギーを持っている人が多いと、なかなか受け入れてもらえません。

たとえば農家さんであれば、従事者の平均年齢が60代後半と、超高齢化。経験値が高く、これまでどおりで食べていけるならそれでいいだろうという人たちに、ITなる不可解でおそろしいものを勧めても、関心を寄せてもらうのは難しい。

そもそも、農業を熟知していない我々のような素人が、農家さんたちに向かって「ITですよ、便利ですよ」って、何様じゃい?ってのもあります。

一方で、農業地帯は少子高齢化と過疎化に歯止めがかからない“課題先進地”でもあります。役所の音頭とりのもと、若い人に地域に入ってきてほしいという声も、最近は目立ち始めているようです。

ならば、IT導入を勧めるのではなく、若者を参入させるためにできることを考えたらいいのではないか。

農家をやりたがる若者が増えるのは、既存のベテラン農家さんやお役所の人たちにも、表立って拒絶するものではないはずです。

農家をはじめる若者は、たとえばこんな人たちでしょうか。

1.Uターンこせがれ組

家を継ぐために街でのサラリーマン生活を辞め、新規就農をする農家のせがれたち。いわゆるUターン組。若者といっても、ボリュームゾーンは30、40代でしょうか。それでも、農業従事者の平均年齢から考えれば、圧倒的に若い。

2.飛び出し転職組

農業に関心を持って、チャレンジをしたい人たち。強いて言うなら、農家への転職組といったところでしょう。こちらはもう少し若い人が多いでしょうか。

ITを駆使するのは、こういう若者たちです。

たとえば、2016年に40歳になる人たちは1976年生まれ。ファミコンで育ち、20代前半でパソコン、インターネット、携帯電話の洗礼を受け、一部の人たちは起業家としてITビジネスを立ち上げ、76(ナナロク)世代としてもてはやされた世代です。それより若い世代は、学生時代にデジタルありきで育った人たち。

生産や経営の効率化が必要なのは、長年の経験で自活できるベテラン農家さんよりも、彼らではないでしょうか。

そして、もしベテラン農家さんをITでエンパワーする必要があるとしたら、それを実現していくのも、おそらく彼らです。

山形では、新規就農した農家のせがれたちがアイデアソンに参加し、ITでやりたいことのイメージをかなり明確に出してくれました。

青森では、農家出身のIT起業家が、地元農家に活用してもらえるITサービスを開発し、地道な実践を続けています。

宮城では、高専生たちが、自分たちが身につけたITスキルで、IT化された市民農園の運営を手掛ける一方、農業高校の生徒たちが、ITでコンテンツ企画に挑戦しています。

こうした流れから、

・IT導入に関心のある農家のせがれたちをIT武装化

・IT武装済みの若者たちがスキルを活かして農業参入

といった線が見えてくるのではないでしょうか。後者はITベンチャーなども含みますが、地方移住で農業をやりたくなった若者も、先にIT武装化しておくという手もありでしょう。

若者の大半は、ITを日常としてきた人たち。彼らが農業をはじめようとしたときに、「ITで何かできないだろうか?」という思考にシンクロするのは、むしろ自然な気がします。

ほかの分野でも、似たような図式があてはまりそうなところがあるかもしれません。

そうした分野では、「IT導入」を前面に振りかざすより、「若者導入」を掲げ、その先の必然としてITを見据えればよいのではないかと感じた次第です。

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