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Ryo Hara

ハッカソン運営:成果発表の準備 ~スマホアプリの場合


アイデアソン&ハッカソン運営で覚えたtipsをちまちま書き散らしてみます。今回は成果発表の場に関するあれこれ。

ハッカソンの最後のヤマは、参加チームによる成果発表。ここをスムーズに進めるにはどうすればよいでしょうか?コケそうなポイントを挙げながらtipsを出してみたいと思います。

1.参加チームのプレゼンが長い

(1) 冗長な前置きを省かせる

発表時間は、5分もしくは10分のケースが多いと思います。5分だと、慣れていないチームは短いと感じるでしょう。しかし、5分以上かかるプレゼンは、多くの場合、前置きの説明が長すぎて、そこで時間をつぶしていることが大半です。

しゃべりなれていないと、発表内容と関係のないエピソードで会場の反応をつかもうとするなど、前置きを長くしゃべって、その間に自分のリズムを作ろうとしてしまいがち。1時間の講演でのアイスブレイクならまだしも、5分のうち2分をそこで消費するのは、もったいない話です。カットするよう事前に促してもよいかもしれません。

(2) 事前準備

発表用のスライドや読み上げ用の原稿を作った時点で満足してしまい、リハーサルをしないチームも多い。時間を計算しておらず、結果、冗長になって時間オーバーに。なので、運営側は、事前のリハーサルで時間内に収めるよう、参加者に促しをしておくとよいでしょう。

特に、原稿を読み上げて発表する人は、原稿どおりに読むことしかできず、本番で途中を端折ったりなど、時間を調整するためのアドリブができないことが大半です。

(3) 時間オーバーへの対応

所定の時間をオーバーしたらどうするか。ここは運営側の“決め”の問題でもありますが、時間キッチリで、プレゼン中でも強制終了にするか、多少のオーバーを許容するか。

前者は機械的に進められるので進行は楽ですが、強制終了のルールを参加者に事前にしっかり周知しないと、参加者の不満につながります。投資などの支援先を決めるピッチなどは、公平性を保つためにこのスタイルをとることになるでしょう。

多少のオーバーを許容する場合、その「多少」をどこで見極めるか。進行役のさじ加減が問われます。時間オーバーでかつ、説明が冗長なときは「まとめてください」と横やりのアナウンスを入れてもよいと思います。途中の説明より、最後に言いたい結論を言わせるように促していくとよいと思います。

(4) タイムキープ

タイムキーパーを置くのも一般的です。が、よくある「あと○分」という紙を掲示する方法だと、プレゼンをしている人が見てくれないことも多いです。緊張している人だと、なおさらです。なので、時間の経過は、音で伝えるほうが確実です。ベルを鳴らすか、近くで口頭で伝えるなどです。

(5) 余裕を持たせたプログラムを

イベント全体のプログラムを組むときも、成果発表会の時間は、余裕をもって設定しておくことをおススメします。【機器の接続+プレゼン+質疑応答+次のチームとの入れ替え】で1セットです。前後が以外と時間を食うクセモノなので、注意が必要です。

プレゼン時間がオーバーしたときは、質疑応答の時間を削って調整をすることになると思います。その分、発表者には不利益となるので、プレゼン時間が延びることのデメリットとして、参加者に事前に伝えておいてもよいでしょう。

2.機器の接続でもたつく

(1) 事前チェックの徹底を

参加チームがプレゼンで使用するパソコン等とプロジェクタとの接続チェックを、発表会の前に行うように徹底しましょう。開発に時間と意識を奪われて、接続チェックなしで本番に挑むチームがありますが、もたつく確率はかなり高いです。ここで2,3分ロスしてしまうと、発表会が間延びしてしまい、聴衆もだれてしまいます。

(2) 変換コネクタ

会場備え付けのプロジェクタを使う場合、備え付けのケーブルはVGAのみのケースも多いです。しかし、最近のパソコンは接続口がThunderboltやHDMIのみの場合も増えてきたので、VGAだとつなげないことがあります。

なので、ThunderboltからVGA、HDMIからVGAに変換できるコネクタを、それぞれ自前で用意しておくとよいでしょう。逆に、会場備え付けのほうがHDMIのみのケースもあるので、Thunderbolt→HDMIの変換コネクタも用意しておいたほうがよいと思います。

両方つなげられるプロジェクタのときは、接続する側のパソコンも対応可能であれば、HDMIを使うのをおススメします。HDMIなら、パソコンの画面だけではなく、音も出力できるので、プレゼンで音楽や動画を流す人がいた場合、対応が簡単です。

(3) プロジェクタの入力切替

また、プロジェクタが反応しないこともあります。ケーブルをつないだのに映らないときは、プロジェクタ側の入力切替のボタンを押してみてください。機種によっては、接続されているケーブルを自動で識別する機能もあるので、そちらで試してください。

機種によっては、接続してから投影されるまで、5秒以上かかることもあるので、すぐ映らなくても、焦らず、10秒くらい待ってみましょう。

3.プレゼン用のスライドが表示されない

(1) ディスプレイの設定

パソコンをプロジェクタにつなげたのに、肝心なスライドがスクリーンに映らないこともあります。パソコンにはスライドが移っているのに、プロジェクタで投影したスクリーンには、パソコンのデスクトップの画面が映っている。こういうケースは、大半がパソコンのディスプレイの設定の問題です。パソコンの設定画面で、ディスプレイの表示方法を変更してみてください。

(2) スライドショーの手順

また、パソコンで開いているプレゼン用ソフト(PowerPointなど)を、先に「スライドショー」にしてから、プロジェクタのケーブルにつなぐと、映らない場合もあります。そういうときは、一旦、パソコンのEscキーでスライドショーを編集画面に戻してから、接続しなおし、つながったあとにスライドショーに切り替えてみましょう。

こうした動作の手順も、接続チェックの際に発表者に徹底するか、本番でスタッフがすぐにフォローに入れるようにしておくと、スムーズです。

4.音が出ない

プレゼンで使うパソコンから音を流したいという参加者もいます。プロジェクタとパソコンをHDMIでつないで会場のスピーカー(もしくはプロジェクタ内臓のスピーカー)から流れるようになっているのであれば、それで問題なし。

そうでなければ、パソコンのイヤホンジャックに、会場のスピーカーを接続させられるか要確認です。

それもできない場合は、運営側で小型スピーカーなどを持ち込むか、パソコンのスピーカーの音をマイクで拾うなどの力技が必要になります。

5.アプリのデモがうまく動かない

これもありがち。開発が終わっていないとか、バグが出たとか、そういうケースは参加チームの問題なので、成果発表の時点で運営側が解決をすることは難しいですが、うまく動かなかったときの対処法は、いくつかあります。

(1) 事前に動画を用意させる

実機のデモが本番に限って動かないこともあります。テストも十分に行えずにその場で作られたアプリだと、こうしたトラブルもありがち。うまく動いた状態を、事前に動画で撮影しておいて、その動画をプレゼンで使うという方法があります。ハッカソン開始時に、参加チームにそうしたアナウンスをしておいてもよいでしょう。

(2) 動かないデモに固執させない

本番で動かなくなったとき、その場でなんとか修正ややり直しを行おうとする発表者もいます。しかし、そこで発表時間を食いつぶしてしまうのは、発表者にとって不利です。動かなかったら、割り切ってデモをあきらめ、何をしたかったのか説明をするよう、こちらも事前に注意を促せておくとよいと思います。

(3) エミュレータの使用を許容する

スマホではなく、パソコンの画面上でエミュレータを動かしてデモをさせるという手もあります。以前はそうした手法を取る参加者が多かったですが、最近は実機で動く状態にもっていけるチームが増えたので、あまり見かけなくなりましたが、「実機のデモが不安な場合は、エミュレータでも可」といったルールをあらかじめ定めておくと、参加者は安心かもしれません。ここは、主催者がどこまでの完成度を望むのかによるので、“決め”の問題になります。

(4) フォローの場をつくる

イベント終了後に交流タイムなどを設ける場合、そこでデモを見せ合える環境を用意してもよいかもしれません。本番では動かなかったかど、あとで挽回できるようなら、見せられる機会はあったほうが親切ではあると思います。

6.アプリのデモが見えない

スマホアプリの場合、デモはスマートフォンの画面上で動くので、会場にいる人たちにとって「そもそも見えないよ!」という状況が発生します。さて、どうするか。

(1) スマホとプロジェクタをケーブルでつなぐ

スマホの画面を直接、スクリーンに映すので、映れば確実です。iPhoneなら、Lightning→VGAなどの変換コネクタを用意すれば対応可能です。Androidの場合は、参加者がChromecastを持参していれば、そちらで対応することもできます。

(2) 書画カメラを使う

実物をカメラで撮り、それをそのままスクリーンに投影する装置です。これをプロジェクタに接続して、実機を操作する様子を撮影、投影します。

(3) Webカメラを使う

書画カメラを置いている会場は少なく、自前で購入するには高価・・・という場合は、強引ですが、ビデオチャット用の安価なWebカメラを、パソコンのカメラ機能などと併用して、パソコン経由で書画カメラと同じ役割を持たせることも可能です。

手元にWindows8のパソコンがあるなら、カメラアプリを立ち上げ、対応カメラをマシン内臓のものからWebカメラに切り替え、そのパソコンをプロジェクタに接続すればOKです。付け替えや投影の調整を省くため、発表者が使うパソコン以外に、デモ撮影用のパソコンを運営側で1台用意しておくとよいでしょう。

このときの注意点は、

・スマホの画面が明るすぎると文字が飛ぶので、発表用のスマホの画面の明るさは事前に要調整

・真上の天井に電灯があると、反射でスマホの画面が見えにくいので、カメラの位置も事前に要調整

・Webカメラとスマホが垂直に位置するように、Webカメラを設置するスタンドを要準備

の3点です。3点目については、アーム付のクリップがあると便利です。

(4) 切り替えスイッチ

(1)~(3)の方法をとる場合、発表用のパソコンとは別に、スマホ画面を投影するためのラインが1本増えるので、プロジェクタへの出力を切り替える必要があります。パソコンにつないでいたケーブルを外して、つなぎなおすという手もありますが、発表時間をロスしてしまうので、あまりおススメしません。

切り替えスイッチを事前に用意しておくとよいでしょう。安価で小型のものがあるので、入手はしやすいはずです。

(5) 審査員にだけ見せる

ほかの参加者に見せる必要がないのであれば、審査員の目の前で実機デモをして、審査員だけ見えればいいと割り切ってしまう。(1)~(3)ができないときの、最後の手段になります。

7.審査員から質問が出ない or 辛辣すぎる

たまにあります。あまりに質問が出なさすぎると、発表者も沈んでしまいます。また、審査員のコメントが厳しすぎても同様です。そういう雰囲気で進めることが趣旨にかなっていれば問題なし。

しかし、そうでない場合、参加者が不快感を持ったまま帰っていくのも、運営側としては、少し気まずいです。

なので、進行役からもフォローの質問を投げかけるように準備しておくとよいでしょう。審査員が黙る、もしくは厳しいことしか言わないときは、発表に必要だった基本的な要素が欠けている場合が多いはずなので、そうした内容を引き出すための、一般的な質問でよいです。もしくは、発表者のよさを拾えるような短いコメントを、さりげなく出す。

成果発表の場の進行は、たくさんのTIPSが必要です。あらゆるプレゼンを要する場でも同様なので、イベント運営のtipsとしてもお役に立てれば幸いです。

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