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「新生東北の門出、 前途は実に洋々たり」3.11イベントLT原稿


(2013年3月11日/ハーネル仙台(仙台市)で開催された、MAKOTO × ITで日本を元気に!の主催による「震災から2年 東北は変わったか?変われるのか?」でのLTのプレゼンの原稿です)

【関連スライド】http://www.slideshare.net/hararyo/it20130311

Fandroid EAST JAPANの原でございます。東日本大震災で犠牲となられた方々、そしてご遺族のみなさまに、深く哀悼の意を表します。

震災から2年を経た今日、プレゼンのタイトルを「新生東北の門出、前途は実に洋々たり」と打たせていただきました。この言葉にはオリジナルが存在します。

みなさんは石橋湛山という人物をご存じでしょうか。戦前のジャーナリストで、のちの総理大臣となる人物です。

彼が東洋経済新報社の社長だった昭和20年8月、敗戦に打ちひしがれる日本全土へ向けて、疎開先の秋田県の横手で書き起した論説のタイトルが、「更正日本の門出、前途は実に洋々たり」というものでした。

敗戦からわずか10日後の8月25日、用紙の配給をわずか数ページに減らされた東洋経済新報に掲載された論説は、だれよりも早く、東北の地から戦後日本の繁栄を確信したものとして全国へ発せられました。

今回の発表のあたり、石橋さんの先見性と気概にあやかり、このタイトルといたしました。

この集まりのタイトルには「震災から2年 東北は変わったか?変われるのか?」と打たれています。

石橋さんの表現を借りれば、前途の洋々さを感じさせる変化は何があったのかということになります。私が身の回りで最も強く感じた洋々たる変化は、自走する人が増えたということです。

▼自らの手足と知恵で自走を始めたひとたち

辺見さんは、仲間ともにスマートフォンアプリ開発を手がけるチームをつくり、会社を起こしました。小規模のユニットでアプリ開発を手がける人々です。

田中さんは、大手メーカーを退職するまさにそのタイミングで被災。同じくアプリ開発者へ転じて、地元企業の商品開発にその実力を発揮しています。活躍のステージを自ら選び、変えた人です。

伊藤さんは、県の施設内にスマートフォンテストラボを立ち上げました。自身の職場に前例のない取り組みを生み出した人です。

石巻では、工業高校の生徒たちがアプリ開発を覚え、地域に活力をもたらしています。地域で夢を膨らませることができた若い人びとです。

県外では、被災後に東京から地元八戸に戻り、会社を立ち上げた岡本さんがいます。南相馬では、「南相馬ITコンソーシアム」が立ち上がり、IT産業の創出に挑んでいます。ともに、ふるさとで価値を生むことを志した人々です。

南相馬では、仙台から多くの仲間がアプリ開発の指導へ赴きました。そして、遠く岐阜県が連携に名乗りをあげ、仙台から武藤さん、南相馬から5名の挑戦者が、大垣にてアプリ開発の修行へ赴いています。地域を超えて腕を磨く人びとです。

このように自走する人々が登場したのが、この2年の変化のひとつです。東北の発展に最も必要な資源は「人」であり、その担い手が、東北各地で芽生えているというのが、2年後の3月11日であります。

▼東北からさらなる発展を起こすための可能性

では、東北からさらなる発展を起こすために、この地にはどのような可能性が埋っているのでしょうか。3点述べたいと思います。

ひとつは、東北が、課題先進地であることです。少子高齢化、過疎、産業衰退。長らく言われるこれらの課題は震災で加速し、また新たに噴き出したものであり、日本や世界が今、直面しているもの、もしくは今後、直面するものです。

これらの課題にITで挑むことで、世界に先がけて課題解決の手段を見つけることができるかもしれません。私たちはいま、東北版リバースイノベーションを起こすチャンスにあるのではないでしょうか。

もうひとつは、豊かな地域資源があること。ひとたび地域に入れば、効率化の名の下に発展してきた社会が、置き去りにしてきた人のあたたかさがあります。農産物や加工品ひとつをとっても、小さなロットでやさしい商品を作ることができる人々がいます。

小さな流通も生まれつつあります。たとえば私の地元、東京、大森のウィロード山王商店街には、石巻マルシェという試みがあり、商店街の人々や石巻にゆかりのある人々が、ボランティアで集まり、石巻の産品を、地域の情報や、ふるさとへの思いをこめて人々へ届けています。

こうした取り組みには、巨大な流通やマーケットとは異なるモノ、サービス、そして価値の交換の場が、垣間見えるのではないでしょうか。

もうひとつは、情報通信分野におけるテクノロジー、そしてそれに付随したサービスの進化です。

スマートフォンの登場やソーシャルメディアの発達は、以前にもまして、人や地域を情報でつなぐようになりました。また、様々なデバイスと連携させることで、スマートフォンは敏感なセンサーとして、人の感覚を補うことも可能になりつつあります。

そして、多くの人が知るところとなったMakersブームがあります。3Dプリンタやレーザーカッターといった工作機械が安価で手に入るようになり、デジタルデータと電子工作で、小さな部屋からモノづくりが可能になりました。

21世紀型の新たな手仕事が、ITに委ねられようとしています。

▼ITを生業とするひとびとに求めたいもの

これらの可能性を東北発の発展につながるために、ITを生業とする人々に求めたいものがさらに3点あります。

ひとつは、自走する意識とスキルをもつことです。先に述べたように、多くの人々が自走をはじめました。こうした挑戦する人々の芽を増やし、芽を伸ばす取り組みを地域全体で支えていきましょう。

ハッカソンやMakersで培われるスキルは、電光石火のプロトタイプを生み、社会の課題解決に重要な先手を打つでしょう。また、自走をはじめた人々が、5年後、10年後に飛躍を続けるための知恵やメソッドを学ぶ場も必要になるでしょう。

ふたつめは、地域を超え、分野を超え、対話をすることです。東北スマートアグリカルチャー研究会では、農業との対話により、農家へ寄り添うITを実践しています。

地域の課題を極めてローカルな視点で解決しうるのも、東北でITを営む人々の優位点となりうるでしょう。異分野との対話は、私たちFandroidが試みているようなアイデアワークショップなどの手法を取り入れることで、より創造的な場になるでしょう。

みっつめは、目線を上げ、未来を大胆に思い描くことです。そのために必要な視点が「デザイン」です。

システムを、プロダクトを、社会をデザインする試みを、ITを営む人々こそ行うべきかもしれません。また、急速に話題が拡がっているオープンデータは、地域課題をデジタルに洗い出し、解決策を導く為の切り札になるでしょう。

課題先進地は宝の山であり、明治時代に呼ばれた「一山百文」の時代は、明治維新から150年を経て、ようやく終わりを迎え、若者が夢と挑戦を掲げるメッカとなるでしょう。

▼自分たちで決める、自分たちでつくる社会へ

最後に、3.11をこえて、ITが東北のあらゆる分野、地域、社会にとって発展の架け橋となるために、社会全体で共有したい考え方についてです。

それは、必要なものは自分たちの力で創造していく社会像です。「自分たちで決める 自分たちでつくる」。この2つのフレーズがスローガンです。

この考えに沿って、先ほどの諸々の要素をつなぎあわせたとき、東北が歩む発展の道が拓けてくるのではないでしょうか。語り合いの場、生み出す場を、フューチャーセンターとしてIT業界から立ち上げていくことを、小さな提案として最後に掲げさせていただきます。

未来への針路を、みんなでつくり、みんなで進んでいきましょう。Fandroidは、そのために地域をつなぎ、分野をつなぎ、ときには誇大な夢想を語り、試行錯誤を繰り返しながら、自走する人々の潤滑油となりたいと思います。

ありがとうございました。

#地域ITの場づくり

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